2011年4月5日火曜日

鈴木敏夫プロデューサーが語る、スタジオジブリ作品の創り方 抜粋

鈴木敏夫プロデューサーが語る、スタジオジブリ作品の創り方
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1011/25/news024.html

「『魔女の宅急便』を作っていた時には、「どうやってキキ(主人公)を作ろう」と宮さんが悩んでいて、2人で吉祥寺の街を延々と散歩したことがあるんです。2人で喋りながら歩いていたのですが、なかなか思いつかないでいる時に突然、彼が「リボンだ。リボンを大きくすればいい」と言い出したんです。そこでパッと喫茶店に入って、紙に顔を描いて、そしてリボンをでっかく描いたんです。「これだ!」と言って。
それで、「何でリボンが大きかったか?」ということですよね。見た目は単に大きいだけだけど、翻訳すると、リボンがキキを守っている、つまりまだ自立はしていない、自立したらこんなに大きなリボンはしなくて済む、なんて考えるんですよ。キキの持っている弱さの象徴ですよね。
また、キキのそばに(言葉を喋る黒ネコの)ジジがいますよね。リボンのことと同時に、キキが心の中で思うことをキキとジジで話せばいい、とも考えたんですね。(キキが成長したことによって)ジジは最後、喋れなくなりますよね。」

「イメージボードは、「映画の中にこんなシーンが出てきたらどうかな」とストーリーとは関係なく考えるんです。いろいろ描いてみて、使えるものと使えないものがあるのですが、ほとんどは意味がないですね。」
「イメージボードから何かの発想が生まれてくることはないんですか?」
「生まれないです、そんな簡単なものではないです。イメージボードは絵として優れているというより、その中に情報が入っていないといけないんです。要するに映画のストーリーに関係してくる何らかの小物が入っていないといけないのですが、それを描ける人はほとんどいないので。」

「大事なことは3つある、と。1つ目はまず「面白い」こと。2つ目は「少しくらい言いたいこと言っていいかな」と。メッセージやテーマを先行させる場合もあるんですけどね。3つ目は僕らが作っているのは商業映画なので「お金をもうけよう」と。そうでないと、次の作品が作れませんから。」

「当たり前ですが、食べることは大事なんです。でも、忘れているんじゃないですか。日本が豊かということは、衣食住の上に付加価値があって、それをうんぬんするようになっているということです。だから、僕らの映画ではそうした付加価値を吹っ飛ばして、衣食住を描いてきたんです。それは基本のことではありますが、僕は基本ではないものが映画の世界ではいっぱい作られている気がしてしょうがないですね。」

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